
みなさまこんにちは。
鈴木耳鼻咽喉科 大阪鼻サージクリニック院長の鈴木です。
「手術」という言葉を聞いて、不安を感じない方はいません。
多くの方が「薬で抑えられるうちは薬でいい」と考え、外科的な治療つまり「手術」を最後の手段、あるいはできれば避けたいものとして捉えています。しかし、日々の診療の中で、私が手術という選択肢を提案するのは、それが単なる治療法の一つではなく、患者の人生を長期的にそして根本から好転させるための「戦略的な投資」だと確信しているからです。
今回は、なぜ当院が手術をおすすめするのか、その背景にある鼻の構造と最新の治療の考え方について、少し詳しくお話しします。
-
「薬さえ飲んでいれば大丈夫」という思い込み
多くの方は、アレルギー性鼻炎に対して「時期が来たら薬を飲めばいい」と考えています。しかし、実はこれには大きな盲点があります。
〇症状の慣れによる見過ごし
長年鼻が悪い状態が続いていると、本人はその苦しさに「慣れて」しまいます。診察すると鼻の中がかなり腫れているのに、「いつものことだから」と自覚症状が乏しくなっているケースも少なくありません。改善するはずの症状が、見過ごされています。
〇薬の副作用とジレンマ
強い薬を使えばより症状は抑えられますが、強い眠気や喉の渇き(口渇感)といった副作用も出やすくなってしまいます。逆に副作用を恐れて弱い薬にすると、花粉のピーク時などには十分な効果が得られないことがあります。効果を重視して、副作用と付き合いながらシーズンを乗り切る、といった方もいらっしゃいます。
〇長期処方のリスク
大きな総合病院などでは、2~3ヶ月分といった長期処方が行われることがあります。しかし、これは病状の変化や急性の感染などを見逃すリスクを孕んでいます。また、処方された薬が余ってしまったり、適切に管理されなかったりすることもあり、医療経済的にも、そして何より患者の健康管理の面でも推奨されない側面があります。
当院では、1ヶ月ごとに細かく病状をチェックし、その時々の状態に合わせて薬を「引き算」していくようなコントロールを目指しています。そして、そのコントロールの最たる究極の手段が、実は「手術」なのです。
-
およそ7割の人が抱える「構造的な問題」
鼻詰まりの原因は、アレルギーによる鼻粘膜の腫れや鼻水だけではありません。実は、鼻の左右を分ける”ついたて”である骨が曲がっている「鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)」が原因である場合も非常に多いのです。
〇骨の弯曲は薬では治らない
鼻中隔弯曲症は「構造」の問題です。どれだけ優れたアレルギー薬を飲んでも、曲がった骨をまっすぐにすることはできません。物理的に道が狭いところにアレルギーの腫れが加わることで、症状はさらに深刻化します。治療は唯一、「手術」となります。
〇本人が気づかない原因
日本人のおよそ7割の人々には、鼻中隔のどこかで何らかの弯曲があると言われています。成長の過程で自然と弯曲することが多いですが、ケガや事故または格闘技・スポーツなどで骨折することで弯曲が残ることがあります。また、物心がつく前の子供の頃にジャングルジムから落ちて顔面を打った、といった本人も忘れているようなエピソードが原因で、成長とともに弯曲が強くなることもあります。
気づかないうちに、実は鼻中隔弯曲症になっている人が多いのです。
〇いびきや無呼吸への影響
鼻の通りが悪いことは、睡眠時のいびきや無呼吸にも影響することがあります。これは単なる鼻だけの問題ではなく、全身の健康や日常生活へも影響を及ぼす可能性があるのです。
睡眠が浅くなってしまうことで、疲れやすく、集中力が落ちてしまう、頭が重い感じがするなどの症状が出ることがあります。これは、仕事などでは日中の生産性やパフォーマンスに大きな影響を及ぼします。無呼吸が悪化してしまうと、長期的には血管障害による様々な疾患リスクが高まってしまいます。
-
手術は「あなたのQOLを上げる」ための選択肢
手術の最大のメリットは、「構造的に鼻が詰まらなくなる」ことにあります。薬などがなくとも、鼻詰まりについては考えないで済むようになることがほとんどです。
アレルギー性鼻炎の場合、鼻水を分泌させる神経に対する手術も併用することで、鼻水の量は1/3程度を減らすことができます。普段必要な分の鼻水は維持しつつ、アレルゲンによる刺激で分泌される鼻水が減ります。
鼻水が気にならない場合は、人によっては1年を通して薬がいらなくなる場合もあり、QOLが大幅に向上します。
〇鼻閉の劇的な改善
手術を行うことで鼻通りは劇的に改善し、詰まるという感覚がなくなるといわれています。
薬によって症状を軽減するのに比べ、改善の仕方が本当に「劇的」なので、喜ばれることが多いです。
〇トータルコストの削減
毎月通院を続けて薬を飲み続けるコストと、一度の手術で根本原因を解決する場合のコスト、アレルギー性鼻炎の治療に対する生涯コストを比較してみてください。早めに根本治療を行うことは、経済的にもそして時間的にも大きなメリットを生みます。
結論:あなたの「当たり前」を疑ってみてください
手術は確かに勇気がいることです。しかし、私は「もっと早く手術しておけばよかった」と笑顔で話す患者様を何人も見てきました。彼らにとって、鼻が通るという当たり前のことが、人生をどれほど明るく変えるかを私は誰よりも知っています。
もしあなたが、
「薬を飲んでいるのに、いまいちスッキリしない」
「毎年の花粉症が憂鬱で仕方ない」
「自分は鼻が詰まっているのが普通だと思っている」
……と感じているなら、一度当院へご相談ください。
当院では、ファイバースコープやCTを用いて正確な診断を行い、あなたの鼻の曲がりや粘膜の状態を適確に評価いたします。
手術が適応になるのかどうか、そして手術をすることで悩んでいることが解決できるのか、その場合はどのような未来が待っているのか、真摯に向き合い誠実にお伝えいたします。
不安を「納得」に変え、一緒に新しい呼吸の感覚を手に入れましょう。